Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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薬師寺の鬼-万燈供養会の召喚 <魅惑の奈良寺1>

仄めく万の灯籠に照らされ、夜の静寂に透き通る篳篥(ひちりき)の音
その中で月櫻の目にうつるそれは


・・・・鬼の手??


太く大きく
やや毛が生え、爪は尖っていているその手はあたかも羅生門の鬼の手を彷彿させるようなものだった。


その手は開け放たれている伽藍(がらん)の中から現れ、
その扉の前で篳篥(ひちりき)を奏でる奏者を包むように頭上に伸びていく。


もし


奏者に何か危害が加わるようであるなら防がなければならない。
と、瞬間身構えた月櫻であったが、見た目の厳つさに反して邪気を感じない事で傍観する事にした。


鬼のような手は、一瞬、奏者の頭上を覆うようにした後、
あっさりとまた伽藍に引っ込んでいった。



・・・あの手はなんなんだ??



***

5月4日の夕方。
月櫻は薬師寺の玄奘三蔵伽藍(げんじょうさんぞうがらん)に来ていた。


目的は、5日の玄奘三蔵会大祭の前夜に行われる万燈供養の開白法要・・・の「後」に行われる『雅楽師 東儀秀樹氏による奉納演奏 @無料』である



無料!←
大事な事だから二度言おう!
東儀秀樹氏の演奏が無料!?←欲の皮パンパン



数日前にひょんなことから知った月櫻は、
満員御礼になるのを見越して、礼儀として開白法要から参加していた。


法要前に到着すると、僧侶による説明会が行われていた。



以前から薬師寺の僧侶の法話や説明(@常設無料)は非常に面白い
爽やかな笑いで話を聞いた後にすっきりするのでオススメである。

奈良に来られたら聞いて頂きたい(見て頂きたい)一つでもある。
その日も大いに笑わせて頂いた。

IMG_20160504_182058.jpg


笑う門には福来る。


そうそう、奈良には「福は内 鬼は内」と節分を行う寺がある。
故に…鬼は必ずしも「悪」の代名詞ではない。


さて、説明会で聞いた東儀秀樹氏の演奏時間は「約3分」との事。
それでも、著名な雅楽師の演奏を寺院で生で
お聞き出来る機会はないので、時の短さについて月櫻は何の文句もなかった。


そして開白法要の後、奉納の前に行われた僧侶による説明で、本来は本日は曲の奉納は無かったと知った。
明日の本番に備えて法要に参加予定の東儀氏が自ら奉納させて頂きたいと申し出て下さったからだと言う。


ラッキー 

いやいや、素晴らしい・・・
東儀氏、太っ腹!
有り難や有り難や・・・


一曲目の東儀氏オリジナル曲が終わり・・・
宮中と神事でしか奏でないという「朝倉音取(あさくらのねとり)」に耳を済ませた。


いつもなら目を閉じ、
耳で見る耳視師(じしし)の月櫻であるが、
何故か今回は目を開けていた。


夜の闇
万燈籠の光
正装の東儀氏の姿
響く篳篥の音

美しい絵に目を閉じれなかったのであった。
yakusiji.jpg


で、「あれ」を見ちゃったのである。


何だったんだ?
あの手?
曲が終わると同時に伽藍の中に戻っていった手に疑問を感じていた月櫻の耳に東儀氏の言葉が聞こえてきた。


-今日は奉納に二曲だけど思っていたが、こんなに大勢の方に来て頂いているので、もう一曲唱歌を演奏します。
日本人なら誰でも知っている曲で
懐かしい曲です-


そう言うような内容の後、
紹介と共に篳篥から流れでた曲は「仰げば尊し」であった。


仰げば尊し
我が師の恩
教えの庭にも はやいくとせ

思えばいととし
このとしつき

いまこそ 分かれ目
いざさらば



曲が始まると同時に月櫻は何故か、
「あの鬼がこの曲を追加演奏するように東儀氏を動かした」
と思った。あの頭上にかざされた手が東儀氏に思い立たせる手伝いをした・・・と感じたのであった。


では何のために?


一度は伽藍の中に姿を消した鬼が再び何かするようであればと見ていると、
天上から一筋の光が伽藍に降り・・・


伽藍の屋根が開くようなイメージと共に、
あぐらをかいた巨大な鬼が現れた。


同時に、開いた扉から逆に小さな小さな子鬼の様なものが大勢流れ出て来た。


その者達は、万燈籠の中に広がり・・・
その下の大地から何かを引き出すように、ゆるゆるとした光の帯を牽引しながら宙に浮いていった


浄化だ


東儀氏の曲が終わる間際、ふと、鬼と目があった。
鬼はニヤリと笑うと
『ここ3年前より行っておる』とのたもうた。
『明日までこうして居る、その後は消える故』


安心せよ
と言うように鬼は再び笑うと、曲の終焉と共に可視化をやめた。


曲の余韻と、鬼が消えた夜の闇を万場の拍手が包み込んでいった。


そして、人々も月櫻も
「希望の方は平山郁夫先生の大唐西域壁画の見方をご説明します~」
という声に呼ばれ、その場から離れたのであった。



平山郁夫氏の大唐西域壁画も一見の価値ありである。
天井画の青はラピスラズリを砕いたものであり、三度塗りがされている。
平山郁夫氏がこの作品を制作する時、日本中の画材屋でこの顔料が品切れになったという(←買い占め)


そんなこぼれ話も、真面目な話も、笑いもありで
有意義な説明会であった。


壁画の中央にはヒマラヤの絵がある。


そのヒマラヤ山脈を超える時に、
同行していたお弟子さん方の半数近くが亡くなられたという。


・・・お弟子さん・・・


西遊記の中で、三蔵法師のお供は猿の孫悟空、豚の猪八戒、カッパの沙悟浄・・・


・・・


・・・



何処におるねん?



続く
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Comment

行きたかったので 

この催し、薬師寺のかたをフォローしてるのもあり、Twitterで知ったので、とても行きたかったのです。
--
加藤大覺@薬師寺 仏教と刀展 (@Kato_Taikaku)
2016/05/02 21:35
また、4,5日の夜には万燈会があります。玄奘三蔵院伽藍一面に灯籠が並び、幻想的な景色になります。4日夜には東儀秀樹さんの奉納演奏もあります。拝観無料ですのでお気軽にお越しください。詳しくはHPで。 pic.twitter.com/Z1zf4iRrfx
--
東儀秀樹 (@htogi999)
2016/05/04 22:16
玄奘三蔵への祈りの奉納演奏。 pic.twitter.com/OqWfJ87UDI
--
無料大事です!(笑 違

鬼さんいらっしゃったのですね。
続きを楽しみにしております。
  • posted by 月洋 
  • URL 
  • 2016.05/07 08:23分 
  • [Edit]
  • [Res]

ごめんなさい 

それぞれのTwitterの写真が綺麗で、こちらにも載るのかと思ったのですが、文字列だけでしたね。ごめんなさい。
  • posted by 月洋 
  • URL 
  • 2016.05/07 15:39分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

おはようございます。
東儀さんの生演奏♪まして無料(笑)関西に住んでいたら絶対行ってました。

薬師寺のお坊さんは参拝の時等ご案内していただき現代的というかウィットにとんだイメージがあります。奈良にいったら参拝しなきゃと思うくらい楽しかったです。

鬼さん、小鬼さんが浄化したモノは何なのか?そもそも鬼さん達は護鬼のような存在なのか?続きが気になります。


  • posted by なつ(^∇^) 
  • URL 
  • 2016.05/08 10:34分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re:月洋さん 

いえいえw
東儀さんの演奏をお寺+野外で聞けるってほんま、幸せでしたw
  • posted by 瑚月 kogetu 
  • URL 
  • 2016.05/08 21:52分 
  • [Edit]
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Re:なつ(^∇^)さん 

> 東儀さんの生演奏♪まして無料(笑)関西に住んでいたら絶対行ってました。

有料でも中々有名人の講演やコンサートにとんと縁のない奈良ですが、
今回ばかりは「やたぁぁぁぁ」でした(笑

> 現代的というかウィットにとんだイメージがあります。奈良にいったら参拝しなきゃと思うくらい楽しかったです。

ぜひぜひw
現代的&対面とか世間体とか上っ面じゃない、正直な気持ちを飾らずに話されると
かえって心に響きますね

> 鬼さん、小鬼さんが浄化したモノは何なのか?そもそも鬼さん達は護鬼のような存在なのか?続きが気になります。

時間があかず、
もう少し続きお待ち下さい(有難うございます!)
  • posted by 瑚月 kogetu 
  • URL 
  • 2016.05/08 22:03分 
  • [Edit]
  • [Res]

素敵な情景 

瑚月さんの文章を読んでいると素敵な情景が浮かんできました。
薬師寺はなぜか主人が好きで、奈良に行くと必ず立ち寄ります。娘二人もあの白い石畳でなぜか砂遊び始めますし(笑)
また行きたくなりました。

東儀さんの演奏を生で聴けるなんてさすが瑚月さんだと思いました。
またお話の続きを楽しみにしています。
  • posted by orange*potiron 
  • URL 
  • 2016.05/13 22:40分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: orange*potironさん 

> 瑚月さんの文章を読んでいると素敵な情景が浮かんできました。
orenge*potironさんのセンスがいいんでしょね~w
> 薬師寺はなぜか主人が好きで、奈良に行くと必ず立ち寄ります。娘二人もあの白い石畳でなぜか砂遊び始めますし(笑)
> また行きたくなりました。
御縁があるんでしょうね。
私は東塔が一番好きなので早く復元されるのを楽しみにしてます

> またお話の続きを楽しみにしています。

ういーっすw←orz
  • posted by 瑚月 kogetu 
  • URL 
  • 2016.05/15 09:18分 
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瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



お手紙は こちら か、一番上のメールフォームからお願い致しますw。

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