Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

Entries

神世水奇譚完伝2『禊ーMISOGI』

・・・やばいな・・・


御苑での用事の後、友人たちと食事をする予定を断り、
月櫻は車を走らせていた。


あの兵士達は、過去累々とこの地を守り、
あの強大なものを押さえて居たように思う。


この御苑は拝殿と神武天皇陵に挟まれている上に、
神宮の周囲には多数の天皇陵がある。


歴代天皇が死してなお、自分たちの御代の繁栄を願うためにその周囲に陵墓を作っていたなら・・・
そして、それに付き添い共に居た無数の古代の兵士達が「それ」を封じていたのなら・・・


さらに意図的か無意識かは分からないが、
それに協力するように「慰霊碑」という名の墓石を建てて、
国を守る志を持つ魂を投じていたのなら


「あれ」はかなり強力でヤバイものではないのだろうか。



幸い吹き出し、空に向かったそれは
空を越えて「宇宙(そら)」に向かって行ったように思われた。



が、何かが自分に絡みついている感じが離れない・・・
異様に手が冷たくて、車の暖房が直にあたってもまったく温まらない



『死人のような手』
『生者の住む現世と死者の住む 他界(黄泉)との境目にあるとされる坂である
黄泉平坂(よもつひらさか)』


と浮かんでくる。


『黄泉平坂』と来るとは大分物騒だな・・・。

しかしそうなると、黄泉の国から追いかける伊弉冊(いざなみ)から
逃げ切った伊邪那岐(いざなぎ)が行ったように禊が必要か・・・




それとあれだな…
葬式に出た後は家に入る前に清めの塩をしないと行けないよな・・・。


とにかくこのまま帰って「家の中に入ってはいけない」
そう直感が告げる。




禊と塩。
「よし、行くか」


月櫻の脳裏にある馴染みのスーパー銭湯が浮かんだ。
そこには塩使い放題の低温塩サウナがある!
禊&塩ばっちりだぜ


目的地を定め、車を走らせる。


しかし普通、亡くなった魂を上げるのに「葬儀」を感じることはない。

『黄泉平坂』を開けたかどうかは分からぬが、
ここまで「死」の臭いがするという事は、
千数百年抑えられて溜まった瘴気に当たったか?。



周囲に居た友人たちは大丈夫だったか?
月櫻の脳裏に一瞬不安がよぎった。


・・・


いや、大丈夫だ。



瞬間的に友人たちに影響が出ないように周囲にシールドを張った。
衝撃波はそのシールドに沿うように消え、まっすぐに上がっていったではないか。
友人たちの輪の中に犬も居たが、特に騒ぐこともなかった。


うん、大丈夫だ。
後は自分がこの繋がりを断つだけだ。


ああ~早く風呂に入りて~~~


*****

その日の日替わり風呂が浄化作用や邪気払いに強い「生姜」と「梅」だったということは
ある意味今日のことは「お約束か?」と、
暖かな風呂の中に力尽きそうになったのは余談である


*****

「うーーーむ・・・しつこいなぁ・・・」
身体が温まりながらも、何かが抜けそうで抜けない感じに
塩で身体を清めて、もう一度風呂に入り直そうとした時、ふと月櫻の足が滑った


!?


は、っとしながらも踏ん張り、転倒は免れたが・・・
一気に張り詰めた気と同時に何かがぼっこりと抜けた感じがした。


<危険な時に生じる強い緊張によって気を上げて、異物を押し出す方法>
は、「あるある」である。


あるあるであるんだが、肝に悪い・・・orz。


よっぽどだったんだな・・・
とにかく、出て行ったようでよかった・・・


古代の兵士も、
昭和の兵士達も、
長年に渡る責務から解き放たれ、あるべき場所に逝く事が出来たであろう。


あれも宇宙に帰ったではないか。


思い返せば、水奇譚の時に「古代神」との関係が初めて分かった。


昔少しの間、教えを請うていた能力者に、
「月櫻の後ろに縄文時代以前の神々が2千数柱いる」
と言われた事があったが、その時は古代神の存在をそこまで深く考えておらず、
どちらかというと天孫系の神々との縁があった分、なぜだろうと不思議に感じていた。


水奇譚により、自分の背後に居た彼らの思いをいつか伝えるという約束は終わったが(水奇譚終了)、
古代神との関わりは終わらなかった。


古代神でもピンからキリまで居る。
水奇譚に関わった古代神は現在でも存在している高位レベルの神々であり、
人との距離感はそれぞれであるが、人の世に残ることを決めて役目をなしている方々だった。


一方、キリの方は自分の思い通りに行かないとゴネルし、攻撃してくるし・・・
奈良の古代神がらみのいざこざ=水奇譚で完了した神々以外が起こすトラブル
には辟易していた月櫻にとって、このある種の封印解除とも言える仕事で、
それらの古代神との関わりもようやく終わったように感じたのであった。


実は月櫻は昨年大殺界であった。
当人が知ったのは昨年の末であったが、
昨年の春先から体調が優れず、エネルギーが落ちている感じであったため、
無理をしないように自重していたの事もあり、
それまで信じてが居なかったが「・・・ありかも」と思っていた。


干支の切り替えは正月ではなく節分。
そして、月の流れにそった旧正月は明日。


ここ1ヶ月ほどは、トラブルの連続だったが、
これで厄抜けが出来たのかもしれない。


案外、命の切り替え時だったのかもしれないな・・・。


旧暦の大晦日らしいといえば大晦日らしい『大祓(おおはらい)』だった。
「これにて終了」と思った時にふと見た鏡の中の自分はいい顔をしていた。



だから、思っても居なかった。




これが「終わってなかった」ことを・・・


続く

◆禊(みそぎ)
身に罪や穢 (けが) れのある者、また神事に従事しようとする者が、川や海の水でからだを洗い清めること。

起源は伊邪那岐が黄泉より帰りしのち行った事。
一説には黄泉の国からこの世に戻る時に行う「蘇生術」であり、命の蘇り(黄泉帰り)を意味するという。
関連記事
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント:投稿可能です。

ご案内

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最新記事

プロフィール

瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



お手紙は こちら か、一番上のメールフォームからお願い致しますw。

counter

Archives&Category

 

淡々と百人一首

    右サイドメニュー

    検索フォーム

    QRコード

    QR

    ブロとも申請フォーム

    時節