Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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道切り初め1<平群>-道奇譚 烟る神々の章 その3

白日夢奇譚-耳視師月櫻(つきお)が語りし事、
そは全ては白日夢(はくじつむ)の中の事とご理解いただきたく候。

実在の地名等が出て参りまするが、
これから何章にも渡り語る事になる事は、白日夢の中の白日夢。
儚い一人の人間の夢の中の幻。

賢明なる読者の皆様はもう十分わかって居られるだろうが、
あえてお断り申し上げて候。

そう、
恥ずかしく、悲しく、本当であるならずっと胸に秘めておきたい…
そんな儚い夢の・・・

夢の奇譚でありまする。

****

ごんっ!!!

という嫌な衝撃が起こった。
同伴の友人の顔は青ざめ、
月櫻といえば、大きなため息を付いていた・・・


やられた、と。


****


「道切り」という詞(ことば)がある。

Wikiには
-道切り(みちきり)とは、村(地域)の出入り口にあたる道や辻で行われる民俗習慣のひとつ。
辻切り(つじぎり)とも称される。

日本の村落においては、
村と山の境界にあたる野良(ノラ)、あるいは村と村の境(サカイ)に、
古くから魔や疫病をはやらせる神などが出入りすると考えられた。

出入り口にあたる道には魔を防いだり、追い払うために道祖神が祀られたり、
注連縄(または藁で作った蛇)を張ったり草履や草鞋が供えるなどの道切り行事が行われていた。

-とある。


ある初夏の休日。
月櫻(つきお)は古き親友が抱える問題に対し、
この「道切り」に準じた事を行う為に、心ある奈良の神々に誘われた場所を巡っていた。
時に「プライベートなら」と月櫻や瑚月(こげつ)が言っているものだ。

最初は飛鳥の地。
そこでエネルギー補給をし、
そのまま北上し、とある寺でまず第一の目的を果たした。

次の場所に向かう為にナビが示した道行は、
まるで奈良の歴史的要所を網羅するつもりかと思うような道順であった。

いわく、
藤原京跡
三輪山
箸墓古墳横
法隆寺
信貴山
そして三輪氏(大神氏)・葛城氏と並ぶ古代勢力であり平群氏の本拠地である平群(へぐり)。


おかしな経路だな・・・まるで、古の奈良の存在全てに顔合わせしているようだ・・・。


と、思いつつも天気が良いドライブ日和だったこともあり、
歴史好きで他県から来ている親友が、奈良を満喫出来るから良いか、
と思いながら月櫻は車を進めていった。

しかし・・・平群の辺りで文字通り雲行きが怪しくなってきた。


見る見る間に山間から黒雲が立ち込め、
稲光が何度も差し込んだ。

スコールのような雨。

因みに次の予定地は野外の「足湯」であった。

一応トランクに傘は用意していあったが、月櫻は心配いらないと思っていた。
多分、必要な場所に行けば雨は止むであろう。
そして少なくとも屋根のある足湯場については、用事が済むまでは大雨になることはあるまい。


それは、「この手の仕事」に関わって何度も何度も経験した上での自信のようなものであった。

それに・・・
運転しながら、ちらりと山々の方を見た月櫻はわずかながら眉をひそめた。

あの雨雲は明らかにオカシイ・・・。
古代神や古代の精霊、魔物か?・・・
しかも複数だ・・・

生きている山、
それは神霊や、精霊が存在できる山。
その最低条件は雨が降った跡に山々に烟るように靄(もや)が立ち込める山だ。


形なき神々は、蒸気にその身を表わす。


もともと奈良は古代神がてんこ盛りの地だ。
特に生駒 信貴山 葛城山 二上山 など
金剛生駒紀泉国定公園(こんごういこまきせんこくていこうえん)に指定されている
地帯はその色が濃くなる。

そして南に行けば行くほど、その気に包まれて行くのだ。



その中でも強い古代神のうち、
葛城殿は、古代に奈良に縁があった月櫻の過去生と縁があるらしく、
訪れると孫の顔をみたようにイソイソと出迎えてくれる。

生駒山に居る古き古き古代の魔物は麒麟の姿をしており、
整体師の仕事で生駒を訪れるとなにかれと話しかけて来たり、
時には守ってくれたりする。


が・・・最初は、「自分より若いものと話などせん」とやや高圧的な態度であったがな・・・。
しかし、ある時、奈良を訪れた月櫻の師匠である狭霧殿が対峙されてから態度が大きく変わったものだ・・・

これは言いえかれば、狭霧殿の魂の古さに折り紙つきの認定が降りた、ってことだが、
・・・そこは暗黙の了解(狭霧殿グッジョブである)。


とはいえ、

奈良のすべての古代神や精霊、魔物が好意的である訳ではない、
というか、彼らは待っているのだ「自分たちの要求を満たしてくれるもの」を。


荒ぶる天候に、そんな嫌な雰囲気を心の奥底に感じつつも
月櫻は目的地を目指していった。



***

うーん おかしい

目的地に近くなった所でナビが示す道順が狂ってきた。
曲がれという所に道がない。
どんどん迷っていく。
そして、ふと気がつくとその道行の果てに「金比羅神社」という表示が現れた。

余計な仕事の予感。
先ほどの荒ぶる神々が脳裏に浮かぶ。
-我らが願いを叶えよ-
そう脳裏に浮かんでくる。


金毘羅さん、
言わずも知れた四国を代表する神社である。


四国も閉鎖された古代神が多い国である。
昨年の秋に剱山にひどい目にあった痛い記憶はまだ脳裏に生々しくある。


しかも来週は四国は伊予国に行く予定であったが、
月櫻はその道行に嫌な予感があった。

その言い知れぬ嫌な予感は、月櫻に淡路島経由で四国内を走るルートをやめさせ、
岡山から広島のしまなみ海道を通っていくルートを選択させていた程であった。


-汝、我らの願いを叶え・・・-
「断る!!!」
頭に浮かび上がる言葉に対し、
月櫻はきっぱりとそう言い放った。

某小説の出だしの様な流れ(*気になる方は「まおゆう」参照)だが、
嫌なものは嫌だ。
というか、今は別件取り込み中だ!

「すまん。びっくりさせた。急がば廻れだ、もとの道に一端もどる。」
親友にわびをいい、車を反転させた。

こんな感じでいつも無理やり仕事させられることが多々あるのだ・・・と月櫻は苦笑しながらはなし、
親友はそんな理不尽な事があるのかと驚きながらも、了承してくれた。

***

今度は上手く道を見つけ・・・
妙な仕事をさせられなくって良かったと安堵していた月櫻だが・・・


再び、車は変な方向に向かい始めた。
ふと目に飛び込んでくるもの。
その日はその地域の地蔵尊の日であった。
2つ程、その登りがある寺の横を通りすぎ、

また地蔵尊を行っている寺の細い路地を進んだ所で、
道幅は車が進めないような細さになってしまった。

反転して戻るしかない・・・
そう思って車のハンドルを切り返した時だった。


ごんっ!!!


と嫌な衝撃が響いた。
なんと後ろの細い棒に全く気が付かなかったのだ。


友人の顔は青ざめていたが、
月櫻の心は何故か湖面の様に静まり返っていた。


・・・やられた・・・


と思うと同時に、何か「予定の通りだな」・・・。
という心の奥底に湧いた何処か冷めた思いを見つめる月櫻であった。

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瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



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