Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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道標-道奇譚 烟る神々の章 その2

「?先生、何を見ているんですか?」
あれは6月末だっただろうか。


昼の休憩時間にPCの画面をじーっと見つめて固まっている月櫻を訝しみ、
奈桜が声をかけた。


「奈桜さん」くるっと振り向いた月櫻は口を開いた。


「8月2,3,4日お休みに出来ますか?」
「えっと、…ちょっとスケジュール見ますね。
土日月ですか?。
…もともと2,3日は定休日ですね。
4日は…まだ予約は入ってませんので今から告知すればお休み取れると思います」


「じゃ、お休みにしましょう」月櫻、握りこぶしグー。


「いいですけど、どうしてですか?」
「豊国に行ってまいります」



奈桜さんしばしの沈黙。
「と よ の く に ????」

豊国―とよのくに-
<『古事記』・国産み神話においては、隠岐の次、壱岐の前に生まれた筑紫島(九州)の四面のひとつとして語られ、別名を「豊日別(トヨヒワケ)」といったといわれる。Wikipediaより>


しかし、道のりには常に試練があるのが物語の常套(じょうとう)。

「…先生、けどその前の週の土日休みにしましたよね。
3週連続休みになりますよ!!!」


・・・ああ、目の前の鬼を何とかしないと豊国にはたどり着けませぬよ月櫻さん。

***

さてさて、月櫻さん、自営とは言え、そこはお客様との関係があってこそ。
好き勝手に休みを取るわけには参りません。

月櫻さんの整体院では毎週日曜日と隔週土曜日を定休日としております。
まずこの休み配置自体がサービス業を舐めているのかぁ?われぇ???

と、

関西だと言われかねない贅沢ぶりなのですが、
そこは月櫻さん、表の顔の整体師の他に裏の顔とも言える耳視師の仕事もしております。


現在は表稼業に邁進するために、本格的な活動は制限しておりますが、
それでも友人知人に「プライベートなら」
(←「奈良」と「~なら(仮定形接続助詞)」をもじっているらしい。
命名は奈良の神々なので私のセンスを疑わないで欲しいby月櫻)


という、奈良の神々&精霊&古代神とコラボレーションした個人旅行を企画実行しておりまして、
大抵相手様の休日に合わせると土日になる…という訳で、こういう定休日になっている次第です。


顧客の予約も管理している奈桜さんが、翌月の勤務シフトを作成しているようですが、
なにやら月櫻さん、問題があるようですねぇ…。

***

「3週連続休みはダメです!そうだ、7月26日土曜日の休みを営業日に変更しますか?」
「!?、いや、すまない奈桜さん、そこは用事こそ今の所ないのだが、休日指定日で…」
「?誰の指定ですか?」
「…神様…」
「は?」
「いえ、上の方です…(*注:三次元より上の上位次元からの指導をひっくるめて「上の方」と言っている)」
「…



…それは仕方ありませんね…」
「だろ?」
頷き合う二人。


それで納得する奈桜さんも奈桜さんであるが、しかし、甘くないのも奈桜さんであった。


「仕方ありませんね。その代わり7月は他の土曜日は全部営業日とします。」
「は?」
「3週連続で土曜日勤務。
そして2週連続で定休日。これならお客様へのご迷惑も最低限でしょう」
「…奈桜さん奈桜さん、7月の日曜日はほぼ用事(耳視師)で埋まっているのですが…」
「あら大変ですねw。夜更かししないで平日早く休んでくださいねw」


「……鬼…」ぼっつり
「先生!!!!」
「はいっ!Σ(゚∀゚ノ)ノ」
「私、日給制ですよね!営業日が少ないとお給料減るんです!!!!」←新妻強し。
という訳で、月櫻の地獄シフトが正式決定したのであった…。

***

次の日の昼休み。


月櫻は再びPCを熱心に覗きこみ、何やら調べていた。

「先生?そういえば何で豊国なんですか」
「えーと…」振り向いて口ごもる月櫻が見ていたPCを奈桜は覗き込んだ。

「あー“また”朝霞さんですか!!??」
「いいんだ!私の心の栄養なんだーー!
それに、”また”って、講演会に行くのはこれで2回目だ!」

***

『朝霞さん』

は、
作家であり美と文化に造詣が深く全国で講演を行っている容姿端麗頭脳明晰文化人である。

***

PCには、その講演会と、講演会後にゲストも参加する町歩き交流会の告知が出ていた。
「凄いだろ!」
奈桜はそれを見て、大きなため息をついた。

「先生、いい歳してかーかーカラスみたいに何時迄も言ってないで早く婚活したらどうですか?。」
「…奈桜さん、結構キツイ事言うね…」

***

その数日後、

ふと手にした書から、月櫻は講演会がある豊国の町が、
高千穂・霧島に並ぶ「天孫降臨の地候補」であるという事を知るのであった。


そして同じ書で、他の古代系小説でも何度か目にしたことがある神社の名も見つけた。


それは全国にある山祇神社(大山祇神社)の総本社にして、
静岡県の三嶋大社と共に、三島神社の総本社とされる伊予国「大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)」であった。

それは月櫻の興味を十分にそそるものであったが
「わざわざ行くのは遠いから機会があれば行ってみよう…」
とその時は心の片隅にしまいこんだ。



その10日程のち…


まさに月櫻が「機会があれば行ってみようか」と言ったその伊予国で、
何時もとはちょっと趣向が違う「朝霞さんの講演会」が行われる事を知る事となるのである。


そしてその講演日は、上から休日指定があった正に「その日」であった。



そう、今思えば、これが長い道のりとなる道奇譚の始まりであった事をその時の月櫻は知る由もなかった。
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瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



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