Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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開国の時-日ノ本神霊紀行その陸

その庵は特別だった。


以前から月櫻が心惹かれていた古民家を再生した庵は、
建っている場所からして特別であった。



もともと月櫻が「君子危うきに近寄らず」の鉄則をあっさり曲げて彼の地を訪れたのは、
その地方の芸術祭の一環として、その庵でライブがある…という事からであった。


が、行ってびっくり。
音楽に合わせて踊りましょうというスタンドライブであった。


…固まる月櫻。




ライブで踊ったことが無い…。
盆踊りとか、カチャーシーなら…←違う



まぁ、それでも、珍しくアルコール片手に見よう見まねでも緩やかに踊り、
その庵と誰にも気兼ねなく「話」をするのはとても心地良かった。


しかし深い知恵を持っている思慮深さを感じるのに、
見えるイメージの姿が若い。


その庵は、個人所有であるがその主(あるじ)を心から大事に思い愛していた。
故に、仮にこの庵を殿守の庵と呼ぶこととしよう。


例えば主が施工業者と大喧嘩をしてまで守り抜いた床板は、
この庵にしか持ち得ないであろう特殊な力を発揮する為の必須アイテムであった。

いつか、大事な主を助けるであろう。



月櫻の目に見える若き殿守の姿は、そんな持ち主のパワーを写していると共に、
新たな使命を持ってリニューアルされたせいかもしれないな…。
と月櫻はそう思った。


今、庵の主の活動により、
その庵は海外からも宿泊を希望する人々が増えてきているという。
祖谷は今、日本の代表の地として世界に開いていこうとしている…。


殿守の庵については他にも色々あるが、
流石に白日夢の奇譚でも個人所有のものについて公共の媒体では出せず…。

本当に伝えるべき事であれば、いつの日にか主殿にお伝えする機会が来るか、
土地から産み出だされた新しき者が伝えるであろう。


<産み出される者>

あれから四国の神々は手を引いた。


大和の神々の助けと、
月櫻から引き出された鬱金殿の言葉と、
月櫻の強い言葉が決定打になった。


鬱金殿の言葉は、
殿守の庵を含めた祖谷の動向を見据え、
鋭く方向性を示唆した。

***

現在、世界に広く(あまねく)開いてゆこうとする取り組みは、祖谷にはとても良いと思う。
転換期なのだろうね。


だからもう、これまで通りを固執して、遠耳の継承者を捜すのではなく、
祖谷の祖霊達、剣山も、自らがその在り方を変われ


***

この言葉に
四国の御方々が驚いた。


今まで変わる存在は「人」であった、
己である事など今だかつて一度もなかったのであろう。


しかし、
日本には葛城山殿や、
三輪殿のように、
民のために名をすて土地を開いた神々も多くいるのである。



そして…
月櫻は最後に言い放った。



永住は出来ませんが
祖谷のあの広いソラと、
あの庵は大好きです。


また行きたいと思います。
が、今度の様な事はもう心底御免です。

私に不要な害を与えたものも、
与える事を許したものに対しても、
断固とした処置を行う。


今度もし今回のようなことがあれば、
その時はルートをお返しするだけではなく、


彼の地に再び訪れても、
もう二度と貴貴方がたと話すことも、貴方がたの事を話すこともない。


私は 忘れ去る であろう。



これは、貴方がただけではなく、
今後私が訪れる全ての地のものに当てはまる第一級宣言である。






それで



最後の最後に残っていた御方々の気配は、
完全に掻き消えたのであった。


***


珍しく暖かな秋の日差し。
車の窓を開けると心地よい風が月櫻を包む。



-今年の紅葉はまずまずであろう-
生駒山の麒麟殿が月櫻に声を掛ける



ああ、綺麗だ。
本当に美しいね。


<やまとは 国のまほろば たなづく 青垣 山ごもれる やまとし うるわし>


祖谷の紅葉もきっと美しいだろう。


茅葺屋根を作る萱刈のボランティアにも行きたかったが、
流石に今回は辞めた月櫻であった。


祖谷の神々の声を聞き、
祖谷を開く人が産みいだされますように。


あの強く優しき守天の庵の言葉を伝えるものが、
早く生み出される事を心から願うのであった。
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Comment

 

以前、ありがとうを送る時のコメント以来のお久しぶりにございます。

遅くなりましたが、再開おめでとうございます♪

そして、貴重なお言葉たちをありがとうございます♪

祖谷の記事を読ませて頂いて、胸にこみ上げるものがあり
何故だかは分からないのですが、只ただ 涙が出ました。
不思議ですね、こういう感じ。


いつも、お忙しい中 沢山のお話しをありがとうございます♪
  • posted by 月の歌 
  • URL 
  • 2013.11/25 22:19分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 月の歌さん 

コメありがとうございます!。

そして物書きにとって一番嬉しいご感想をありがとうございました。

神社仏閣等々、昔は怖いもの知らずと其処に関わる多くの方々の事まで気が回らず、
自分の視点だけで書いてしまっていました。
だんだん情報の怖さを知るようになり、固有の場所にまつわる話を書くことを躊躇するようになりました。
それゆえの故の「白日夢奇譚(物語)」ですが、月の歌さんの琴線に何か響くことがあったのなら、
本当にありがたいことです。拙い文章ですがこれからも良かったらよろしくお願いいたします。
  • posted by 瑚月 kogetu 
  • URL 
  • 2013.11/25 23:46分 
  • [Edit]
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瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



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