Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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『山紫水明』 神世水奇譚 その柒

昨晩が遅かった割に、ぱっちりと目が開いた。
平日よりも早い位の起床時間だった。


カーテンを開けると、
びっくりするほど太陽の光が清々しかった。
透き通る光の刃の様な、きりっとした清々しさ。
そして鮮烈で力強い光だった。
「巫女」の様な光だな。とふと月櫻は思った。


かつて狭霧殿と鬱金殿が「巫女」というイメージを話されていた事があった、
『巫女とは、目的の為に切り捨てる選択を迷わない…厳しさ。
いや、迷わないわけじゃない…。
だからこそ、その選択は切り捨てた重みは常に背に負う強い心構えをもつ。』
というものだった。


それを傍らで聞きながら、
とてもとても深い言葉だ…と月櫻は思ったものであった。




早々に身支度を済ませた月櫻は愛車に乗り込んだ。
「じゃ、出発するぞ、安全運転よろしく。」
挨拶と共にポンポンと軽くハンドルたたくと、愛車はいつも通り返事をした。
-OK


月櫻は「橿原神宮(かしはらじんぐう)」に向かっていた。
民間有志の請願に感銘を受けた明治天皇によって創建されたのが明治23年(1890年)である。
意外に近代だ。


この「明治天皇」という所がミソだよな…。
と月櫻は思う。


明治天皇は人格者であっただけでなく、近代稀にみる能力者だったようだ。
少なくとも明治神宮を見る限りではそう思ってしまう。


明治神宮には「水路」を用いた山の内線内を浄化するメインシステムが組まれており、
明治天皇はその要として座しておられるのだから。


しかし今回の件を通して改めて思う。
水はなんと多くの働きをしてくれるのであろうか…。



「橿原神宮」がある畝傍山(うねびやま)が見えてきた。


山々に囲まれた大和盆地の平地の中には、まるで浮島な3つの山がある。


『畝傍山(うねびやま)』
『耳成山(みみなしやま)』
『香具山(かぐやま)』

この3山は自然が作り出した偶然か、
あるいは神のなせる業(わざ)なのか、

畝傍山を頂点に二等辺三角形に他の二山が配置され、
見事な調和の美をかもし出している

古代史を歩く より抜粋
***********

ちなみに畝傍山東麓は北側が神武天皇御陵、南側が橿原神宮となっている。
さらに余談だが、先に紹介した畝傍山を頂点に他の二山によって二等辺三角形に囲まれた地には日本史上最初で最大の都城「藤原京」があった。


そしてその藤原京に遷都した女性天皇である「持統天皇」は、類まれない能力者であった…、
というのも余談である。


橿原神宮は大和王朝初代天皇である神武天皇と、
その后である媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめノみこと)を祭って在る宮である。


后の媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめノみこと)は「狭井大神(さいノおおかみ)=大神(おおみわ)神社での大物主大神)」が父である。


古代の巨大な勢力をもった一族である「三輪山」の娘が、
初代天皇に嫁ぎ、大和と三輪の間に婚姻関係を持ったのだ。


これも別の見方をすれば、三輪が大和と協定を結び、大和の文化に準ずるも「三輪山」「大神神社」の存続を維持することを確保したとも取れる。
そして、三輪という強大な地元勢力の力を手に入れた大和は大きく歴史に名を残していった…。
そういう古代歴史ロマンの一説が出来上がりそうである。


*********


しかし以前に月櫻が見たところでは、橿原神宮には固有神は居られなかった。
そのかわり三輪山と同じように大きな螺旋のエネルギーと、そして無数の古代神の影が浮かび上がったのであった…。
その、かつて鎮めた「無数の古代神の影」が今回月櫻が朝から橿原神宮に向かっている理由でもあった。



橿原神宮につくと、その外苑で「夢の森フェスティバル」というイベントが開催されていた。
「夢の森」が富士の件の時の祈りの場を作った狭霧殿のエネルギーフールドである「月輝の杜」を思いさせた。
しかも「祭り=フェスティバル」…。
神にとって祭りは大切な行事だが、なんというか…流石というか…タイミングがいいな…と月櫻は思った。




今朝方降った雨上がりの外苑のアスファルト道は、
朝日を浴びて眩しいほど輝いて観えた。



杜の木々も清々しく葉を広げていた。
以前来た時と空気が全く違っている。
月櫻は深く息をすった。



それは「あの雨」の浄化の証の様にもみえた。



拝殿より参拝する。
目を閉じるとここもまた前回と違い、美しく輝く螺旋状エネルギーが観えた。
この光も最も古き「神」の姿の1つなのである。


挨拶をし、本殿よりも「個性を持つ古代神」が最も強く現れている所に向かった。


「深田池」
この池は、畝傍山の南斜面約13ヘクタールに降る雨水を水源とする灌漑用溜め池である。


しかし『日本書紀』に記されている飛鳥時代に作られ「畝傍池」がこれでないかとされており、
この池は神宮よりも遥かに深い歴史を持っている。
その広い広い湖畔からは、西に聳える美しい金剛・葛城山を仰ぎ見る事が出来る。



そういう意味では、「三輪」「畝傍」「金剛」「葛城」と言った、
奈良有数の古代神が座す山々のエネルギーが一同に介する場でも在るといえる。
そして鬱積した膨大なエネルギーの集積を現すパラメーターの様な池でもあった。
月櫻はかつてそうであった池がどうなったか、昨日の結果を見に来たと共に、
ここ数日の一件から心に感じた言霊を捧げに来たのであった。



水面は以前に訪れた時よりも清らかな感じがしたが、
まだ何処と無く「無明の重さ」を感じさせた。




外苑の木々や道の輝き、空気と比較すると明らかにまだ重い…。
月櫻の顔は少し曇った。



私達は、
あなた方に成すべき事をお返し出来たのであろうか…?。





水面に問いかける月櫻の頭の中に突然言葉が流れた。



*****

今回の範囲になった古代神は「山系」なのだよ…。
日の本は海と共に多くの山によって守られている島だ。
その山々は日の本が出来た時から存在するものもある。
そんな山々には古き神がいるというのは、君はもう知ってるだろう?。

山から染みでた源流がやがて大いなる河になり人々を潤す貴重な水となる。
そういう「水」なんだよ…。
だから少し時間がかかるのだよ。
少しね。

*****


柔らかな風のようでありながら、
目的の為に切り捨てる選択を迷わない…厳しさ。
いや…選択に迷わないわけではないが、切り捨てた重みは常に背に負う強い意志。



一瞬であったが、それは師匠の上位意識人格であり、かつてある星の大神官をしていた方の気配に似ていた。
「狭霧殿の上位意識はまだ…、仕事をされているのですね…。」


水蒸気となった古代神の流れ、
雨となり地に戻った彼らを、出来るだけ正しき場に、そして安らけく大地に抱かれるように、






…貴方はまだ、


まだ、
風と共に無限に広がっているのですね…。



師の意識の欠片に触れ、
月櫻の心は静かなる湖畔の様になった。


そして、池に向かい、水に関与するすべての神々に向かって言霊を捧げた。

********


古代の神々よ、
またの名を「名も無き無数の文化」よ、


世の人々が思いもしない程、
どれだけ数多くの文化が今の世の土台になってきたことか。
それと同じ数の神々が、どれだけ人と共にいた事か。
名をなくし、民を無くし、どれだけ長い年月の間、あなた方は「忘れ去られていた」のだろう。

あなた方の土台があって、
私達はDNAを積み上げ今に至る事が出来ました。


私達が今、ここに居るのはあなた方の時代があったからなのですから。


あなた方に、
名も無きあなた方に、

心から、
感謝を申し上げます。


ありがとうございました。
長い長い月日、ありがとうございました。

*************

まだ少し「重い」水であったが、
その水の面に映る古き山々は、優しく美しくその姿を現していた。



清らかな秋の日であった。



つづく>>>


山紫水明>
1)山は日に映えて紫色に見え、川の水は澄んで清らかであること。山や川の景色が美しいことをいう

yahoo辞書より
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Comment

Re: 『山紫水明』 神世水奇譚 その柒 

お忙しい中 ブログアップ ありがとうございます。
 コメントは 自分のために書き込みしているようななモノですので♪
 お返事なんて ぜ~んぜん お気になさらないで くださいませ。 って すみません(-_-;)お休み中に 気を遣わせてしまって…

 でも どうしても お伝えしたくて。

  月櫻さんの捧げられた言霊に
  胸が 熱くなり 
  涙が こぼれました
  
  畏れながら 私も
  言霊を 声音として 祈りました

 ありがとうございます。(合掌)

 
  • posted by 三月うさぎ 
  • URL 
  • 2012.10/20 00:34分 
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Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



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