Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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『水は方円の器にしたがいて』 神世水奇譚:その伍

「今、真名井と天之御中主様とナギ・ナミ様はどうでしょうか?」


「そうですね。天の真名井の写真は大分綺麗になってきましたし、
真名井神社の磐座や伊邪那美様の祠も軽くなってきてます。
流石です。」


「仕事の進み具合を確認していただけますか?」
「現在、95%完了らしいです。」



「残り5%は何なのですか?」
「残りの5%は…」



ブー
ブー
ブー


目覚まし代わりの携帯のバイブ音が、また月櫻を現在に引き戻した。


朝ですね。
携帯君、ありがとう。



ぶちっっっ←











はっ!?
月櫻が慌てて時計を確かめると、
いつも起きる時間よりも30分オーバーしているではないか。
ヤバイ!。
奈桜が来る前に用意をせねば。



慌てて準備する余り、今朝はPCを開く暇もなかった。


昨晩はあれから深夜遅くに無事帰還した狭霧殿から連絡があり、
仕事の出来の確認を依頼されたのであった。


確か残り5%、って出たんだよな。
その残り5%が何か尋ねたら「ショートカット」という言葉が浮かび…。
意味が分からず探索するうちに眠気に耐えられなくなってきたんだよな…。


『上手く行ったなら奈良の水道水に何か変化があると思うのです』

という狭霧殿の言葉に、眠気で半分朦朧としながら水道をひねって「水」にも尋ねたのだが
「神気が通っているか?」の問にYESでもNOにも返事がなく…、
これは声が聞き取れない程眠気がさしているのだと月櫻は自己判断した。

そして狭霧殿にはわびを入れて床に着いたのであった。




静岡に行った金曜日の夜は諸事情で貫徹。
土曜日の夜は狭霧殿と丑三つ時辺りまで話し込んで不眠ぎみの上、仕事予告。
日曜日は人質になり。新幹線で拉致監禁。
月曜日は脳みそが離脱。


…なんか歌ができそうだ。
しかもマザーグースを越えられそうな凄惨さを感じなくもない歌だ…。




そんなこんなで、月櫻は不眠気味であったのだ。
「月櫻さん、おはようございます」
全力で頑張ったお陰で、鬼より怖い助手が来るまでに用意を整えられた。
朝準備の超ショートカットである。


って、これとは関係ないよな…。



そうやって慌ただしい一日が始まり、
そして終わった。
本日も満員御礼。
ちょっと異常過ぎる忙しさ。



さらに閉店後は昨日おあずけを食らった奈桜に「静岡の件」と「脳みそ人質事件」の説明を強要された。
という訳でやっと一人になったのは夜もふけた頃で、
疲れにぼ~っとなりながらも夕飯の支度の為に何気に水道で手を洗った時であった。




「違う!」
一瞬、何故?と思うくらい、
水が違っていた。




『上手く行ったなら奈良の水道水に何か変化があると思うのです』
という、昨日の狭霧殿のツイートが脳裏に浮かんだ。



ああ、そういう事か。
昨日の深夜と今朝は何も感じなかった。


水に尋ねた答えが「YES」でも「NO」でもなかったのは、
元を綺麗にして末にまでそれが影響するにはある程度「時の流れ」が必要だと云う事だったのだな。


残り5%はその「時間差」の事を指していたのだろう。
月櫻はそう合点した。



しかし凄いな…。
ご家庭の一般水道に神気が来る日はくるとは…。



急いで狭霧殿に報告する。
『ほんとですか?嬉しいです。凄い頑張りましたーーー』


…頑張って出来る貴女が凄いです。


『しかし、水を感謝して使うとか、尊ぶ心がないと神気は感じられないでしょうね。』
『いいのです。徐々に影響が広がって神様とか自然に対しての感謝に気づく人が増えたり、周辺環境が浄化の流れになればいいのです』


師匠、ごもっともです。


報告を終えた後、月櫻は風呂に入りに行った。
ご家庭で神気入の風呂なんて、なんて贅沢であろう。


『あとで経過報告します。』
と狭霧殿にいい、月櫻は風呂に向かった。



************


うぉおおおおおおおおおおおおおーーーー。
気持ちぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーー。



久々に浴槽で体を伸ばす。
ブクブクと頭までつかりたい気分に包まれる気持ちよさであった。


凄いなぁ…。
神様ありがたいなぁ…。
水、ありがたい…。
と、思った所ではたっと月櫻は思った。


「同じ水道の水なんだが、浴槽と蛇口で触れた水の性質が何か違う感じがする」のだ。



うーむ…。
これは突撃現場レポートだな。



月櫻は風呂の湯に聞いてみた。

「浴槽の水殿と水道の流水殿では違いがあるのですか?」
『ある』


(やっぱりあるのか…)
更に月櫻は尋ねた。


「どういう違いでしょうか。濃度ですか?強さですか?効用ですか?」
『量ではない・・・、強弱でもない・・・強いていえば・・』
「しいて言えば・・・?」



『<水は方円の器に従いて>だ』


な・・・、
なるほど・・・。
その意味を更に聞いた時、月櫻はその言葉に感嘆した。



水は形がない。
それ故、水は色々な器で人の元に運ばれ、触れられ、使用される。


そしてそれぞれの器には「浴槽」「コップ」「水道」など、「名前」という言霊がある。
人は無意識、または意識的その器を用い、その時々に合わせた「水の役割」を決めている。


例えるなら、
食器などの洗い物をしている時の水道水は「汚れを落とす(清め)」の役割を求められていたりする。
しかし、みそ汁など調理に使う時は「美味しくなって」となる。


また、同じ「風呂」であっても、月櫻にとっての浴槽は「仕事中に受けたものの浄化」だが、
人によっては「安らぎ」であったり「パワー充填」であったりする。


各々のものに対して使用者が無意識・意識的に決めた「役割」に応じて水が
臨機応変に対応していると云うことを一言で的確に表したのである。



上手い…。
神気水は使用者が思うようにその力を発揮してくれるのか…。


しかし、もっと重要な事が水から伝えられた。



大事なのは水の本質は変わってないということ。
物の名の言霊を心に留め、役割を感じて使う事のはけっこう難しい。
お疲れ気味の方や疲れやすい方は、考えるだけでヘロヘロになってしまう。


ではもう少し思考を簡略化して「感謝して使う」はどうかというと、
これもいちいち言霊を扱うよりはずっと行い易いが、
感情や身体に左右されやすい。

人によっては「出来ない時、または出来ないこと」に対して自分を罰してしまう人もいる。



それでは本末転倒である。
まっとうな神は罰するものではない。

父が子を思い叱る事と、
母が子を思い叱る事は
「罰」とは意味も中身も違うのである。
神の想いは祖先の想いであり、しいては親の想いに近いのある。


また、神気が増したとは言え、水の本質はかわっていないと言うことである。


命の海と例えられるように、
水は母の慈愛の様に穏やかで、見返りを求めずにやさしくじんわりと包み込んでいく。
ちょっとお昼寝してしまった家族にそっと毛布をかけるような優しさなのだ。


だから、『何も思わずとも』じんわりと染みこんでいく。
まさに師匠が先に言った言葉そのものだな…。



『いいのです。徐々に影響が広がって神様とか自然に対しての感謝に気づく人が増えたり、周辺環境が浄化の流れになるればいいのです』


そう。
まさにその言葉通りなのである。


乾ききった土は最初水を弾いてしまう。
しかし水は怒りもせず、じっくりその場にとどまって、ゆっくりと硬い大地を溶かしていく。
そしていつか、じんわりと大地に染みこんでいき、多くの命を潤していくのだ。


人にも硬い人や柔らかい人がいる。
かかる時間には個人差もあるだろうが、
いつかきっと、
水の染み入る優しい大地の様になるだろう。
そして、
今度はその心や体で行う行動から、
大切な大切な物を一杯生み出していくだろう。





風呂から上がり狭霧殿に報告をしたあと、
月櫻は久々に早く床についたのであった。




もうこれで終わった。
長い旅だった。



そう想い、ゆっくりと心地よい眠りに引きこまれて行ったのであった。




おやすみ月櫻さん。ご苦労様。



しかし、





月櫻さん、実は忘れものがありますよ。



『5%のショートカット』。



それが何処に続くバトンなのか、
気がつくにはちょっとだけ時が必要であった。



残念。
まだ旅は続いているのだった。





つづく>>>


水は方円の器に従う>

1)四角い器に水を入れれば水も四角い形になり、丸い器に水を入れれば水も円形になる。
転じて、人も環境や付き合う人物いかんで良くも悪くもなるということ。

2)「方」とは四角のことで、「円」とは円形のこと。
孔子の言葉で、『韓非子』に「人君為る者は猶盂のごときなり。民は猶水のごときなり。盂方なれば水方に、盂圜なれば水圜なり(君主たる者は水をいれる鉢のようなものである。人民は、その鉢の中の水のようなもの。鉢が四角なら水も四角い形となり、鉢が丸ければ水も丸い形を作る)」とあるのに基づく。

故事ことわざ辞典より

****************

追伸>
以前にも書かせていただきましたが、現在まだ完全復帰しておらず臨時で活動しブログを書いています。
申し訳ないのですが、コメントやメッセージに「お返事」まで書くと、「復帰」なってしまうのか、心の何処かでブレーキがかかるのです。

けどコメント・メッセージ等、頂くのは大変大変うれしくて励みになってます。
長文ですし、内容としては難し事も多く含まれているので、稚拙な文章で書いている私は上手く伝えられているのか本当に不安でもあります。
コメント・メッセを下さった方々、お返事は上記理由にてかけませんが、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。

ありがとうございました。

****************
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Comment

Re: 『水は方円の器にしたがいて』 神世水奇譚:その伍 

コメントの件、気にして下さってありがとうございます。
お返事の事は、どうぞお気になさらないで下さいね。
瑚月さんのブログを読ませて頂ける事がとてもありがたくて、
コメントさせて頂いております。
こちらの方こそ、つたないくせに長文コメントで申し訳ないです。
コメント、読んで頂いてありがとうございます。
  • posted by 銀河 
  • URL 
  • 2012.10/15 18:32分 
  • [Edit]
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瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



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