Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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『誘い水』 神世水奇譚:その壱

言葉なきもの、世に存在せぬとされるものを “耳で視、目で聴く耳視師”月櫻(つきお)。
耳視師月櫻が語りし事、
そは全ては白日夢(はくじつむ)の中の事とご理解いただたく候。


***************************************



いい香りが風に乗って届く。
心が落ち着く甘い香りだ。


金木犀の香りだな。
そういえば、この三嶋大社には天然記念物に指定された樹齢1200年の金木犀殿が居らっしゃるという。


平成24年9月29日午前、月櫻は伊豆国は一の宮、三嶋大社の大鳥居の前に佇んで居た。
最近この近くに居を構た月櫻の師である狭霧(さぎり)殿と久々に一献酌み交わそう、
という話は以前からあったのだが、多忙な双方の都合があったのがこの日であったのだ。


以前、お宅にお邪魔したのは何時だろうか。



待ち合わせ時間に所用で遅れると連絡があったが、
心地良い風と旬にしか味わえない芳香の歓迎に時の流れは気にならなかった。
事実その日は9月末日というのに、汗ばむような日差しであり、爽やかな風は正直助かった。



しかし、本当にいい風だな…。
ふと、空を仰いだ時だった。
おや?。



そこには、珍しいお方が居られた。
伊勢神宮外宮ではいつもお世話になっている「風宮」の『級長津彦命(しなつひこのみこと)』様だ。
シナツヒコ様は月櫻の視覚フィルターでは白鬚の好々爺やで、
とてもウイットに飛んでいる気さくなお方である。
流石、風の神。


そういえば、今年の6月に伊勢に詣でた折には風宮が珍しく留守中で非常に驚いた。
シナツヒコ殿と懇意にされている先輩の鬱金(うこん)殿に後でお尋ねしたら、
「なんぞこちらの方(関東)に来ておられるようだぞ」とおっしゃっておられたな…。



宮を空けるなぞ、ついぞお目にかかった事がなかったので、
よほど重要な事で神霊界が動いているのだろうか…と、その時に思ったものであった。




んで、
その重要な事で出張中のシナツヒコ殿が何故ここに?。←



そう、この時月櫻はもう少しオツムを使って考えていれば、
これから起こる事の大きさを少しは予見出来たかもしれなかったのだが、
なにせ久々の師との再会に少々馬鹿に拍車がかかっていたのだろう。


挨拶だけで直ぐに姿を消されたシナツヒコ様に「・・・相変わらずお茶目な方だ。」
と微笑んで終わったのであった。



月櫻、この大馬鹿野郎である。
神は用事がない所に現れる程、暇ではないのだ。




その後、師の狭霧殿と無事合流し、三嶋大社に参拝をした。
『あれ?月櫻さんはお賽銭要らないんじゃないんですか?』
狭霧殿はにっこりと笑ってそういった。



狭霧殿は月櫻より年若の女性。



ほっそりとした体つきだか、実は太極拳の名手だとか…、
千人レベルでの遠隔ヒーリングをこなしてしまうだとか…、

『なんとかなるでしょー(にっこりw)』と微笑みながら、
月櫻の度肝を抜くような超大技&荒業を難なくこなしてしまうとか…、
それが、また凄いのなんのってそりゃあんた…、




実は恐ろしい方であるのである←。



「何か言いましたか?(に~っこり)」
「いえいえいえいえいえいえ、なんにもw」
月櫻は引きつり笑いをしながらも、手に持ったお賽銭を賽銭箱に捧げた。



「今回は、仕事で来てはおりませんからね。あくまでプライベートの観光。」
「なるほど、お賽銭はプライベート宣言なのですねwww」
「そうです、では神様へのご挨拶も終わりましたことですし、改めて観光をさせて頂きましょうか」


三嶋大社の御祭神は

*******************

◆大山祇命[おおやまつみのみこと]、
◆積羽八重事代主神[つみはやえことしろぬしのかみ]
の御二柱の神を総じて三嶋大明神[みしまだいみょうじん]と称しています。


大山祇命は山森農産の守護神、また事代主神は俗に恵比寿様とも称され、
福徳の神として商・工・漁業者の厚い崇敬をうけます。
~~~(略)~~三嶋神は東海随一の神格と考えられ、
平安時代中期「延喜の制」では、「名神大」に列格されました。
社名・神名の「三嶋」は、地名ともなりました。

三嶋神社HPより参照:
*******************


参拝をさせて頂いて確信したが、ここも伊勢を中心とした神々ではなく、
朝廷からの名を冠することで実をとった地方の強力な流れだな…。
そう、もともと、富士周辺は富士山を中心とした富士神界で日本の中で大きな勢力を持っている。


日本という国は、目に見えないが、幾つかの神界や仙界が拮抗を保ちつつ存在している連合国家だなと、
月櫻は常々感じている。

三島の神は、天照大神の流れをくむ天津神とは異なる神流の中でも大神であったのだろう。

「一説には伊豆は元々違う島で、日本にど~んとぶつかってくっついたそうですよw」
月櫻の思いを知ってか知らずか狭霧殿はそう月櫻に説明した。
…やはり喰えないお方だ。


「何かいいましたか?」
「いえいえいえいえいえいえいえいえ」


目線、斜め45度である。



*******************


狭霧殿に案内され、三嶋大社の次に訪れたのは、日に70万トンから100万トンという東洋随一の湧水量を誇る柿田川公園であった。


日本三大清流である柿田川は、富士山の伏流水が湧きだすこの公園の「湧き場」から始まる。




すばらしく清らかな水。そして空気。
富士の伏流水と聞き、以前に行って心から感動した富士浅間神社の怒涛のごとく流れいでる清流を思い出した。
清々しさの中にも凛とした厳しさをも感じる水。
そして、力。
それが富士の水の印象だった。




伏流水だとけあって、厳しさは和らいで過ごしやすい。
のんびり座っているだけでも、日々の喧騒が流れて行くようであった。



「あら、今日はちょっと少ないかしら…」と狭霧殿が呟いたのは、
柿田川の源である湧水が見られる第一展望台。


上を展望するのではなく、下の湧水を展望すると、広い水面の左右にそれぞれ湧水場が認められた、
湧き出ている場所は水だけでなく、その下の砂も波紋のようにゆっくりと動いている。



「少ないのですか?」
「ええ、この前来たときは雨の後だったかしら?。」

確かに、日に70万とか100万トンの水が湧き出しているにしては、
上品な感じであった。



「第二展望台はもっと大きな湧水がみられるんですよ。そちらにも行きましょう」
「ええ…」


~水量が少なくなっていくのが、自然破壊などの人類の影響で無ければいいが…。
豊かな自然が元気をなくしていくさまは、心が痛い…~



狭霧の後にしたがって階段を上がりながら、
月櫻の脳裏にちらっとそんな思いがかすめたのであった。


****************

「あら、神社ですw」
「…神社ですねぇ…」
「来たってことは参りなさいって事でしょうw」

第二展望台を目指していたはずが、いつの間にか神社になっていたのはご愛嬌である。
HPのマップにも載っていない小さなお社は貴船神社の末社であった。


…貴船ですか…。
京都の貴船神社では、昔、先輩の鬱金殿とがっつりと大仕事をさせられた苦い記憶が…。


と、思いながらも「ま、観光ですし。狭霧殿が参られるし、京都の貴船さまにもついぞ久しいから、
たまにはご挨拶させて頂きましょう」と、気を持ち直して月櫻はお賽銭にお賽銭を投げた。



すると、







ささげたお賽銭がお賽銭箱の木の桟(さん)と桟の間で止まったのである。



にっこり笑って狭霧殿はこう言った。
「…えっと~、プライベート却下って事w?」
マテ!!!!!!!!。」




気を取り直し、それぞれが祈りをささげその場から下がった。
「?、月櫻さん、何か浮かない顔ですね~。どうかされました?」
「いや…。個人的に参った場合、どこの神社・仏閣に詣でても「例の件」の成就の手助けをお願いしているのですが…」
「あ、例の件ですね」


月櫻にはある「心願」があった。
ここ数年は、その願いの糸口を掴むための長い長い取り組みを行なってきた。
それは、師と仰ぐ狭霧殿や、敬愛してやまない兄弟子の鬱金殿も熟知しており、
また数々の協力も行なってきてくれた事であった。


「どうも、返事が…。うーむ。ちょっとすみません。京都の貴船に飛んでみますので、
しばしお待ちいただけますか?」
「いいですよ。私は昼ごはんの場所を探してきますので、どうかごゆっくり」
狭霧殿の姿が見えなくなったのを確認し、
月櫻は「京都貴船神社」に飛んだ。


一度行ったところはエネルギーラインが通っているというか、
アンカーが打ってあるように場所の同定が出来るため、そのエネルギー的な時空に「飛ぶ」事が可能なのである。



「いかがでしたか?」
戻ってきた沙霧殿に月櫻はちょっと暗い表情で話した。


「…仕事…」
「は?」
「仕事してくれってのの、一点張りなんです。私は浄化仕事は退任したつもりなのですが…」
「あ・・・」
「?、狭霧殿?どうかされましたか?」
「お参り」


呟いた狭霧殿は、月櫻の方を向いてにっこりとこういった。
「私、月櫻さんの心願を叶えてくださいwってお祈りしたんですw」
「…じゃ、もし・・・や・・・?」



月櫻の脳裏に嫌~な予感がよぎった。



「月櫻さんの願いを叶えてほしくば、我の願いを叶えろ、ってことでしょうかね…」
「それって、私の願いが「質」に取られてたって事…?」
「みたいですね…」


いや、マテ。
それおかしいから。
絶対おかしいから!←。



****************

一番の湧水を眺められる第二展望台に二人は来ていた。
素晴らしい眺めだった。


蒼い。
水に色が付いているわけもないのだが、
とても美しい蒼。


こんこんと水が湧きいずるその場は、見た目よりずっと深いのであろう。
周囲とは一線を格した蒼さがあった。


心奪われる美しさをしばし堪能した後、
狭霧殿は口を開いた。



「で、何をしたらいいんでしょ?。語り部さん、通訳お願いしますw」
「通訳ってねぇ…貴女…」


師と仰ぐ方を動かす為に「質草」に要られたという心理的ダメージは大きく、
ご迷惑をかけてしまうという思いに、月櫻はかなりブルーになっていた。


しかし、降ってくるものはふってくる。
そういう物だ。


「…つまりを取って欲しいそうです」



その湧水につながるルートの何処かにつまりが生じている映像が浮かんできた。
となると、先ほどの第一展望台の湧水の量が少なかったのは「つまり」に対するアピールだった訳だ。


「分かりました」
狭霧殿は観光客にまざり、展望台からじっと水面を見つめた。
そして数分後「終わりましたw」と、沙霧殿はにっこりと顔を上げた。


流石、凄いよ、狭霧殿。
月櫻は舌を巻くばかりである。


「では、腹ごしらえを致しましょうw。」
はい、ご苦労様です。お仕事はお腹がすくのです。


ボリュームたっぷりのイタリアンバイキングを楽しみながら、
まずはお互いの近況を話すなど、やっと楽しい休日の時間を過ごすことが出来た。


「では確かめに参りましょうか」
最初に確認しに行ったのは柿田川の流れが全体的に見える場所。
ここは、先に訪れた時よりも水の勢いが増していた。
午前中には見えなかった白波が見える。


そして、問題の第一展望台。











「狭霧殿…」
「はいw」
「…流石ですね」


前に見た時よりも、明らからに砂の動きが違っていた。
のんびりと広がる波紋のような砂の動きは、
吹き出すようなものに変わっていた。
そして何より、



「湧水場が増えてますよ…」


そう、水が噴き出る場所が増えていたのだ。
今まであった3つの大きな場所の横にそれぞれ複数の湧き場が現れていた。


そして再び詣でた貴船神社では、眷属の方のお辞儀まで頂いてしまった。
やはり、質草はかなりの強行手段だったようだ。
貴船様も、地元神との関係もあって苦肉の策だったらしい…。



「時間的に水が多くなる時なのかもしれませんが、上手く行ったというサインくらいではあるでしょう」
「いや…、めっちゃ増えてるし…。どうやったんですか?」


「土地神さまの位上げというか、神様のエネルギーが上がれば「つまり」も押し流しやすいですし…。
土地神や水のエネルギーも流れやすくなると思いまして…。後、つまりを取りやすいように少しお手伝いさせて頂きました。」(にっこり)


柿田川の湧き場の水は、三島市を始め、複数の市の多くの人々の水を供給している。
ここに本来の神気が通るという事は、神々にとっても人々にとっても…。


ふう…と、月櫻は大きなため息をついた。
しかし、もう「質草」になるのは御免だ!。
月櫻は握りこぶしグーで、そう心のなかで叫んだ。




しかし、流石ですよ、師匠…。



狭霧殿は謙遜して居られたが、
実はこれが成功した証が、翌日別な形で証明されることになった。





そう、





新たなミッションという形で。


つづく>>>>>


誘い水>
(1)井戸のポンプで水が出ないとき、誘い出しのために上からポンプ内に注ぎ込む水。呼び水。
(2)ある事のきっかけとなること。他の事が起こる誘因となるもの。

                                   Weblio辞典より
*******************

注意>
この話は、登場者の脳内白日夢とちょびっとの事実を元にしたフィクションです。
(特に、師匠のキャラは…んがうぐっつ←。あ、あくまでフィクション…パタ…)
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Comment

Re: 『誘い水』 神世水奇譚:その壱 

お師匠様すごいですΣ(・△・)
明日の火曜ヒーリングに申し込んだのですが、楽しみです~♪
月櫻さんの心願が叶いますように。
  • posted by ももんが 
  • URL 
  • 2012.10/09 00:12分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

読ませていただいてどうもありがとうございました。

鮮やかに光景が浮かびました。
富士の麓に、貴船や伊勢の神さまたちもお姿や気配をあらわされ、美しい景色の中、観光客にまじって、
お二人の大きなお仕事にドキドキです。どうかご無事に終えられますように‼

目線斜め45°の、いえいえいえいえ、のお気持ちとか、他にもなんかもう、読ませていただきながら、キュンキュンしています。
  • posted by かほり 
  • URL 
  • 2012.10/09 14:23分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 『誘い水』 神世水奇譚:その壱 

一斉ヒーリング申し込みついでに初めて物語読ませてもらい始めました。柿田川のつまりをとってくださるお話、地元民としてとっても嬉しいです!狭霧殿すてき
  • posted by 静岡 ぴよりん 
  • URL 
  • 2012.10/29 22:56分 
  • [Edit]
  • [Res]

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瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



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