Voiceless world ー魂魄白日夢奇譚ー

Voiceless world of the voice to you 声無きものの聲をあなたに。      人の不思議(魄)と白日夢の如き奇譚(魂)の物語

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凍れる音楽・花仙舞う:太古の神3~小説:小説:奈良白日夢奇譚

再び東塔の上空に現れていた目玉は3月の時よりも小さくはあった。



東塔の機能は停止している為、
月櫻は手っ取り早く違う次元に繋いで移動してもらう方法を取った。




しかし、このままでは定期的に薬師寺に来なくてはいけなくなる。
…代わりのシステムを構築しろという事か?。





月櫻は麗珊(リーシャン)に声をかけ、東塔の周りを回った。

「何をしているの?」
「一番効率のいいポイントを探している…」尋ねる麗珊に月櫻はそう答えた。




麗珊は直感が鋭いがまだ使い切っていない。
だが、一緒に来たと言う事には何か意味があるに違いない。



~問題はどう使うか、いつ使うかだけどな…



ふと月櫻が足を停めた。
「ここだな」



立った場所は東塔の入り口からわずかに外れた場所。
金堂に向かう観光客からは東塔の影になり見えない。



しかし一人観光客がいる。
普通仕事をする時は人払されるはずだが、居ると言う事は
『なるべく自然な形でやれ』という事だろう。



薬師寺を守る僧侶は非常に勤勉で尊敬に値する。
不審な態度は慎むに越したことはない。



しかし、こう云う時月櫻は正直、躊躇する。
まがりまちがっても人さまの敷地で術を使うのは、心理的には不法侵入感もある。



そして以前も悩んだように「役目と勝手に決めて勝手にやってはいないか」
「自分のフィルターで「良い」と思うというだけで行動していないか」という事だ。




…だからこう云う仕事はちょっと遠慮し…


と、考えかけて月櫻は目が見開いた。



その目線の先には先程処理したはずの目玉がもう作成されかけているのがうつっていた。



~早い!?



それは先程に比べてもまだまだ小さかった。
しかし巨大な川の強固な堤防が、小さい穴から決壊するように、
もう次元に空いた穴に蓋をするすべは何処にもないのだと悟った。



やるしかない。




月櫻は呼吸を整えた。
まずその地の地脈を探る。



10m

50m


100…200…



地下、約500m程の処で地脈をとらえる。
東塔の心柱から相輪を座標ポイントに設定して、
そのエネルギーの流れをぐっと持ち上げた。



しかし何故か相輪上部で固定が出来ない。



地脈のエネルギー以外の何かの要素が必要なのか?





「あ…」月櫻は声を漏らした。
なる程、そう言う訳か。


月櫻は一人合点がいくと、
横で静かに立っている麗珊に声をかけた。


「力を貸してくれ」
「え?私何にも出来ないけど」
「大丈夫、出来る。ただ東塔の相輪を見つめてくれるだけでいい」
「訳わかんないんだけど…」


合点が行っている月櫻の横で、
合点がいかない麗珊はそれでも一心に相輪を見つめ出した。




~さて、現れるか?



麗珊の心が一点に集中し、エネルギーが相輪に向けられる。
その瞬間



ふわりと艶やかな桃色の大輪をこうべに抱く、麗しき芍薬の精が現れた。
花仙麗珊であった。


~いよ、お久しぶり


笑う月櫻に花仙はほほ笑みの挨拶を交わし、相輪の横に立った。


~後は音楽だな


月櫻は過去生の自分の分身の中から、神楽(かぐら)と呼ばれる精霊を召喚した。




<東塔の相輪の上部の水煙には24の飛天。
それらは『笛を奏で、花を蒔き、衣を翻し、祈りを捧げる姿』である>



花は地脈のエネルギーを集め、
統合し、そして美しさと香りと共に放出する。



音楽は風であり、
花のエネルギーをより生かし、引き上げる。




なんて美しいシステムだったんだろう。



『凍れる音楽』とこの東塔を最初に命名した人物はよほど直感に優れているか、「判る」人物であったのではないだろうか。



遠慮することはない!


月櫻は再び地脈のエネルギーを思いっきり引き上げた。




エネルギーの光の流れは心柱に沿い、滝を駆け上がるかの様に天に向かう。
花仙が舞う。
神楽が歌う。


地と花と風の饗宴。




エネルギーの波は最初の軸を中心により太く循環し始めた。
現在立っている東塔の中に、循環するエネルギーで作られた東塔が出来あがった。





完了。





月櫻は大きな息をつき、
「終わったよ」と麗珊に声をかけた。



「何?何が一体どうなったの?判んないわ~。私何やったの?おしえてぇ~」

びっくりして尋ねる麗珊に月櫻は笑いながらこう答えた。


「さ、時間がないぞ、次行こうw」
「え~~~~???、ちょっとぉ~~~」


進みだしている月櫻を麗珊が追いかけていく。



さあ、次は「金堂に行け」だな。



本当に薬師寺は面白い。


追伸>頂いた黒竜は月櫻の兄弟子であり心友である鬱金(うこん)に手渡された。3月、大震災の爪後がまざまざと痛々しい中、その地奥深くに黒竜は役目を成す為に。





つづく


**********************************


東塔の巻き終了ですw。
けど、実際では「花」と「音楽」と「エネルギー」が必要ってのが判っただけで、水煙の24飛天と『凍れる音楽』の事は全く繋がってませんでした。
というか飛天の事は、今回小説書くのに東塔を調べて初めて判った次第で…。
凍れる音楽の別名も、薬師寺に行く時に麗珊さんから聞いて初めて知ったのです。

…ヒントは貰ってたんだねぇ…。
てか、わからんし←アホ。

書きながら、「あああああああああ、そう言う意味だったのか~」とやっと理解したという…ま、こんな行きあたりばったりな人ですよ(遠い目。


ついでに、知った当初から「凍れる」がどうしても「こーらる」(何で訛ってるんだw)に聞こえちゃう瑚月。


今調べてみたら、「こーらる」って「コーラル」で「珊瑚」って云う意味なんですよね(モノ知らず)。


瑚月の瑚は心友の鬱金さんが珊瑚から命名して下さったのですが、
「珊瑚の音楽」=「神楽(瑚月の過去生の上分身)の音楽」

とまでくっつけちゃったら…。


やめよ、幾ら偶然でも胡散臭すぎですよね、どこの3流小説だよ←爆。

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プロフィール

瑚月 kogetu

Author:瑚月 kogetu
本職>某病院異端リハビリスト。
特技>体を含めものの声を聴く
焼き肉や鍋の時に同僚に重宝される特技でもある)。

東洋系治療と自然農法に興味あり。
『美しく生きる』を考えたい人。

ブログの中の私が体験した白日夢の奇譚は、患者様の特定を防ぐために整体師・耳視師という設定の中で「月櫻(つきお)」さんに小説:白日夢奇譚という形で語って頂いております。
飽くまで本職は病院勤務で整体院は営んでおりません。
ご了承下さい。



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